甲状腺の病気

主な甲状腺の病気

  • 甲状腺機能低下症
  • 甲状腺機能亢進症

甲状腺機能低下症

猫の甲状腺機能低下症は、のどにある甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンの機能が弱まることで発症する病気。症状としては体温の上昇、呼吸数の増加、心拍数と血圧の増加、食べているのにやせていく等があげられます。

甲状腺機能低下症は犬ではみられますが、猫ではまれだそうです。
BaabaのZaviiはこの甲状腺機能低下症を保護したときから患っていました。

いまの所考えられる原因

  • 自己免疫疾患(免疫系の暴走で自身の甲状腺を攻撃し、炎症のため機能が低下してしまう)
  • 遺伝性(甲状腺の委縮などが起き甲状腺ホルモンの分泌量が減少し異常を引き起こす)
  • 治療の影響(他の甲状腺の疾病により行った手術や治療薬の影響)
  • 腫瘍など(他の病気の影響で引き起こされる)

主に見られる症状

  • 元気がない
  • 周りへの関心がなくなる
  • 暖かい季節に寒がる
  • 体幹部や尾っぽの脱毛
  • 脈拍数が正常値範囲より減収する
  • 血圧低下
  • 神経症状(麻痺や運動失調など)

治療

  • 投薬
    体内で甲状腺ホルモンが不足しているため、人工的な甲状腺ホルモン製剤を投与する。
    (注意)投与量が少なくても効果が得られず、投与量が多いと甲状腺機能亢進症をひき起こす可能性があるので、定期的に検査を行い投与量をチェックする必要がある。
  • 基礎疾患の治療
    他の疾患で甲状腺機能低下症が引き起こされている場合もあり、その際はその基礎疾患の治療を行う。

甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンの分泌が増加するため体の組織の代謝が亢進し、さまざまな症状を引き起こす病気。甲状腺は、甲状軟骨のすぐ下にある、甲状腺ホルモン(サイロキシン)を分泌する内分泌器官で、体の代謝を活発にするホルモン。

いまの所考えられる原因

明確な理由は不明だそうです。が・・・

  • 甲状腺が何らかの刺激を受けて肥大化する
  • 自己免疫疾患
  • 化学物質による影響
  • 感染症
  • 遺伝性

主に見られる症状

  • 食欲旺盛になったにもかかわらず体重減少
  • 動きが活発になり落ち着きがなくなる
  • 大声でなくことが増える
  • 毛艶がなくなる、毛がたくさん抜ける
  • 水をたくさん飲むようになり、尿量が増えた
  • 頻脈、心雑音、心肥大
  • 呼吸が速くなる
  • 嘔吐、下痢

治療

  • 外科手術
    甲状腺腫が原因の場合大きくなった甲状腺を手術により切除。左右2つの甲状腺を切除した場合は不足する甲状腺ホルモンを補うためのホルモン投与が生涯必要となる。投与をやめた場合、医原性の甲状腺機能低下症や副甲状腺機能低下症を招いてしまう。
  • 投薬治療
    甲状腺ホルモンの生産を妨げるような薬を投与。生涯に渡る投薬が必要。
  • 食事療法
    ヨードの含有量が少ない療法食を与える。(メリット、デメリットがある)
室内環境の見直し

「揮発性有機物質」(きはつせいゆうきぶっしつ, VOC)の影響が考えられるようになってきた。所謂「環境ホルモン」と呼ばれる、目に見えない揮発性有機物質を猫の生活環境から可能な限り減らすことも大切とのこと。

全米猫獣医学会(AAFP)甲状腺機能亢進症ガイドライン

全米猫獣医学会(AAFP)が2016年にまとめた甲状腺機能亢進症ガイドラインがあります。

ガイドラインは下記より確認できます。(英語サイト)